TUFSグローバルスタディーズ学会 2020年度(第1回)大会

開催日時

2021年3月14日(日)13:00~17:30

場所

Zoomミーテングでのオンライン開催

プログラム

3月14日(日)午後13:00~17:00 

分科会1 言語学 司会:萬宮健策(総合国際学研究院)

  • 報告1:袁姝(博士後期課程)(13:00~13:40) 使用言語:日本語
    「日本語の「不同意」に関わる談話研究の動向と課題」 要旨
    討論:伊集院郁子(国際日本学研究院) 
  • 報告2:高甜(博士後期課程)(13:50~14:30) 使用言語:日本語
    「「ノダ」文の文法的特徴と意味機能」 要旨
    討論:川村大(国際日本学研究院)
  • 報告3:大河原香穂(博士後期課程)(14:40~15:20) 使用言語:日本語
    「フランコプロヴァンス語地域における名詞の数の体系―Atlas linguistique de la France『フランス言語地図』を用いた分析―」 要旨
    討論:秋廣尚恵(総合国際学研究院)
  • 報告4:川本夢子(博士後期課程)(15:30~16:10) 使用言語:日本語
    「謝罪表現と言語的「礼儀」:ポーランド語のケース?スタディ」 要旨
    討論:匹田剛(総合国際学研究院)
  • 報告5 山本真司(総合国際学研究院)(16:20~17:00) 使用言語:日本語
    「イタリア語における分格代名詞と非対格仮説:研究の歴史を振り返って」 要旨
    討論:川上茂信(総合国際学研究院)

分科会2 言語教育 司会:青山亨(総合国際学研究院)

  • 報告1:守屋久美子(博士後期課程)(13:00~13:40) 使用言語:日本語
    「日本語教育非専攻の学部生を対象にした遠隔日本語教育実習における活動の学習環境デザイン」 要旨
    討論:林俊成(国際日本学研究院)
  • 報告2:Onchoysakul Srikanlaya(博士後期課程)(13:50~14:30) 使用言語:英語
    “Toward Syntactic and Lexical Features for Automated Scoring of Non-constructed Spoken Production by Thai (KKU) Learners of English” 要旨
    討論:吉冨朝子(総合国際学研究院)
  • 報告3:Wiastiningsih (博士後期課程)(14:40~15:20) 使用言語:英語
    “Translation Methods related to Japanese culture into Indonesian in Kawabata Yasunari's Yukiguni” 要旨
    討論:アリアン?マカリンガ?ボルロンガン(世界言語社会許育センター)
  • 報告4:モハンマド?ファトヒー(特別研究員)(15:30~16:10)使用言語:日本語
    「アラビア語と外国語教育」 要旨
    討論:長渡陽一(特別研究員)
  • 報告5:西畑香里(世界言語社会教育センター)(16:20~17:00) 使用言語:日本語
    「大学院における通訳実習のあり方に関する研究 ―学内リソースを活用したコラボレーション授業の事例から―」 要旨
    討論:内藤稔(総合国際学研究院)

分科会3 文学?文化 司会:水野善文(総合国際学研究院)

  • 報告1:田中あき(博士後期課程)(13:00~13:40) 使用言語:日本語
    「カイ?フン著『道士』(1944)日本軍進駐期の仏領インドシナで書かれた個人崇拝を戒める寓話」 要旨
    討論: コースィット?ティップティエンポン(総合国際学研究院)
  • 報告2:二階健次(博士後期課程)(13:50~14:30) 使用言語:日本語
    「東国の内海に潜む竜:『雲玉和歌抄』の蒙求題「漢祖竜顔」を手掛かりに」 要旨
    討論:村尾誠一(国際日本学研究院)
  • 報告3:井伊裕子(博士後期課程)(14:40~15:20)使用言語:日本語
    「19世紀ロシア写実主義グループ?移動展覧会における風景画の位置づけ スターソフの展覧会評を中心に」 要旨
    討論:前田和泉(総合国際学研究院)
  • 報告4:楊柳岸(博士後期課程)(15:30~16:10) 使用言語:日本語
    「水上勉『瀋陽の月』における「満洲娼婦」を語る意味」 要旨
    討論:柴田勝二(国際日本学研究院)
  • 報告5:石﨑貴比古(特別研究員)(16:20~17:00) 使用言語:日本語
    「天(てん)竹(じく)神社と崑崙人に関する一考察」 要旨
    討論:吉田ゆり子(総合国際学研究院)

分科会4 歴史学?社会科学 司会:武内進一(総合国際学研究院)

  • 報告1:塚田浩幸(博士後期課程)(13:00~13:40) 使用言語:日本語
    「アメリカの百年戦争(18世紀半ばから19世紀半ばまで)―近世から近代への移行期における帝国間と帝国内の対立―」 要旨
    討論:大鳥由香子(世界言語社会教育センター)
  • 報告2:Teeba M. Abdulati(博士後期課程)(13:50~14:30) 使用言語:英語
    “Food insecurities: The impact of UN sanctions on Iraq’s food system” 要旨
    討論:松隈潤(総合国際学研究院)
  • 報告3:エンフバヤル?ソロンゴ(博士後期課程)(14:40~15:20) 使用言語:日本語
    「コロナ禍でのモンゴルの教育機会均等について」 要旨
    討論:加藤美帆(総合国際学研究院)
  • 報告4:加藤慧(博士後期課程)(15:30~16:10) 使用言語:日本語
    「勇気尺度作成の試みーアドラーの勇気概念に着目してー」 要旨
    討論:佐野洋(総合国際学研究院)
  • 報告5:大槻忠史(特別研究員)(16:20~17:00) 使用言語:日本語
    「お雇い外国人のみた戦前日本の食糧事情:E.F. ペンローズの統計調査とその意味」 要旨
    討論:佐藤正広(国際日本学研究院)

3月14日(日)午後17:00~17:30 

  • 総会  
    1:会則の採択 2:学会執行部の選出 3:2021年度事業計画 4:その他

備考

参加費無料

使用言語:日本語?英語

事前申込制
参加希望者は、以下のグーグル?フォームより3月7日(日)までにお申し込みください。
申込期限を3月12日(金)まで延長いたしました。
申込リンク: https://forms.gle/MxT8Mkvzzzfz5eAx6

お問合わせ先

学会事務局
ags.tufs[at]gmail.com ([at]を@にかえて送信してください)

報告要旨

分科会1 言語学  

袁姝(博士後期課程)「日本語の「不同意」に関わる談話研究の動向と課題」 

本研究では日本語の「不同意」に関わる談話研究(主に話し言葉)を概観した。母語話者の研究から接触場面研究に「不同意」の研究領域が広がりを見せる中で、本研究では、まず、研究対象について、従来使われている「対立」「不一致」といった、「不同意」に類似する様々な用語の定義と範囲をまとめた。そして、研究の動向について、「分析の注目点」「データの種類」「分析の手法」という側面から整理し、得られた知見と残された課題を示した。最後に、今後の方向性と必要性について、① 「不同意」のプラス効果への注目 ② 「不同意」を含む談話展開のあり方 ③ 母語話者と非母語話者という区別ではない共同構築の分析 という3点を提案する。

高甜(博士後期課程)「「ノダ」文の文法的特徴と意味機能」 

「ノダ」文について幾つかの説で「説明説」が主流となっているようである。日本語文法学会編(2014)によると、「ノダ」文は「?は?だ」という形をした主題?解説型の構文の一種で、その中核的な機能はある事柄の「背後の事情」を表すことにあるとされる。「ノダ」文の意味機能はかなりの程度明らかにされたとは言えるが、各用法に現れる文法的特徴やその文法的特徴と意味との繋がりはまだ検討の余地がある。 
本稿はコーパスによる実例調査を行い、「ノダ」文に現れる主題、文タイプ、接続語、他の叙法形式との組み合わせという四つの文法項目を立て、「ノダ」文の文法的特徴を考察する。従来の「説明説」がどこまで言えるかを見直し、「ノダ」文の意味機能を再検討する。

大河原香穂(博士後期課程)「フランコプロヴァンス語地域における名詞の数の体系―Atlas linguistique de la France『フランス言語地図』を用いた分析―」 

本研究ではAtlas linguistique de la France『フランス言語地図』を用いてフランス東部を中心とするフランコプロヴァンス語地域における19世紀末から20世紀初頭にかけての方言の名詞の数の体系を分析する。今日規範とされる標準フランス語では、大多数の名詞の単数形と複数形は音声的に同形である。しかしBouvier (2003)によれば、方言では標準フランス語と異なる名詞の数の体系が見られた可能性が考えられる。なお、フランコプロヴァンス語地域全体に着目し、さまざまな名詞の数を分析した研究は過去に殆ど存在しない。本研究の分析から、同地域の多くの地点で標準フランス語とは異なる数の体系が見られたことがわかった。

川本夢子(博士後期課程)「謝罪表現と言語的「礼儀」:ポーランド語のケース?スタディ」 

「謝る」ことは異なる言語社会の特徴が映し出される言語行動で、日本語と他言語との対照研究で取り上げられることも多い。本研究ではポーランド語の謝罪表現を例として取り上げ、罪の意識や謝罪の種類、また言語的「礼儀」の表出といった観点から社会言語学的考察を行う。ポーランドのテレビドラマ3作から報告者自ら収集したセリフデータを分析し、その結果をもとに、特に敬称と親称の選択により定まる人間関係に焦点を当て、この人間関係が謝罪の言語形式、謝罪の種類、また場面の公私とそれぞれどのような相関関係にあるのかを明らかにしていく。

山本真司(総合国際学研究院)「イタリア語における分格代名詞と非対格仮説:研究の歴史を振り返って」 

非対格性に関する理論は、関係文法の文脈でのPerlmutter(1978)の研究にまでさかのぼるが、生成文法の文脈一般でも、例えば重要なものを2つだけ上げるとすれば、Burzio(1986)やRizzi(1982)の著作のおかげで、広く知られるようになった。興味深いことに、この2つの著作は、タイトルが示すようにイタリア語に焦点を当てているのだが、日本でそれらを引用した多くの人が、主に英語の事例について議論することに集中していたようである。いうまでもなく、イタリア語はいくつかの点で英語とは異なる。そのため、英語でも透けて見える使役動詞 verbi causativiとの交替などの現象は、非対格性の理論の標準的な旗印になったかのように頻繁に引用されたようだが、英語では欠けている他のいくつかの現象は、ここで説明する意味での文法の研究者の間では、無視されたとは言えないとしても、あまり注目されなかったように見える。しかし、例えば、イタリア語学の分野における非対格性の理論に関する説明と情報の代表的な情報源である「イタリア語参照広文典」(L. Renziその他編集?著)およびその他のこれと姉妹関係にある文法のページを少し見ただけでも、非対格性が受動態、代名詞動詞、再帰動詞など、イタリア語の文法のさまざまな現象にわたる広がりを持っていることがうかがえる。今回は、部分格の接語 ne のある側面を簡単ながら取り上げたい。この問題は、主にパドヴァ学派の研究者 - 本稿で意図するような意味での文法研究の歴史においても積極的な主役であった - に負うている、イタリア語と局地的言語の人称代名詞の組織に関する研究に照らして考察すると、よりよく理解されるであろう。

分科会2 言語教育  

守屋久美子(博士後期課程)「日本語教育非専攻の学部生を対象にした遠隔日本語教育実習における活動の学習環境デザイン」 

本研究では遠隔日本語教育実習で日本語教育非専攻の学部生Aが何を学び、どのように学習環境を利用したかという分析を通して、学習環境デザインの観点からよりよい活動の内容について考察する。本実践は1学期にわたり台湾の学習者との間で遠隔日本語教育実習を5回実施した。参加者Aへの事後インタビューをSCATで分析し理論記述を行った結果、遠隔日本語教育実習という活動それ自体を通して自身の経験や興味を背景にしてリマインドの重要性や前提の共有程度を考慮したコミュニケーションなどの学びの実現可能性が示された。実習生によって異なる経験を活性化するため、実習経験を内省し他の参加者と共有できる場の構築の重要性が示唆された。

Onchoysakul Srikanlaya(博士後期課程)“Toward Syntactic and Lexical Features for Automated Scoring of Non-constructed Spoken Production by Thai (KKU) Learners of English” 

Assessing speaking has been a challenging task, for it requires great resources. Various researchers have attempted to automate the scoring of speaking performance, to evade the issue of resources such as raters, time, and financial requirements. The automated scoring of constructed speech has been remarkably successful, but not that of non-constructed speech. This research aims at investigating the syntactic and lexical features for automatic scoring of non-constructed spoken production based on transcripts generated from ASR. The participants are Thai learners of English at Khon Kaen University. With the limited accuracy of the transcripts, syntactic and lexical features have been examined. The result shows that, only AS-unit could differentiate levels A1 to B2. Some features such as number of clauses and lexical density can do A2 to B2 due to the required speech length, and others such as prepositional phrase can only distinguish level A from B, while the majority of these are not reliable indicators.

Wiastiningsih (博士後期課程) “Translation Methods related to Japanese culture into Indonesian in Kawabata Yasunari's Yukiguni”

This paper is part of my dissertation and still ongoing writing progress and will be compiled with another chapter as a whole dissertation. Translation of literary work is one of means to transfer values from a society to another society since logically, literary work and the society from which it was born is inseparable. Consequently, literary work cannot be separated from the culture of the society. Translating a literary work is transferring a new culture from the source language into the target language with its different cu